これも起業セミナーでよくある質問です。

 

「好きなこと」で「稼げる分野」での起業ができれば一番ですよね。

ところが、これを見つけるのはなかなか難しいことです。

 

だから「好きなことで起業したほうがいいのか」「それともビジネスと割り切って、稼げる分野で起業すればいいのか」と悩む方が多くいらっしゃるのだと思います。

 

今回は「好きなことで起業すること」と「ビジネスと割り切って稼げる分野で起業すること」のメリットとデメリットをそれぞれ見ていきたいと思います。

 

「好きなことで起業すること」のメリット

・楽しい

・苦労もいとわない

・稼ぎが悪くてもいい、と思える

・やりがいがある

・好きなことをやっているという充実感がある

・うまくいかないときも好きだからこそ粘り強く取り組める

などがあげられます。

 

「ビジネスと割り切って稼げる分野で起業すること」のメリット

・収入を得られる

・自分の今あるスキルを活かすことができる

・これまでの経験や実績が活きる

・商品、サービスを通じて顧客に価値提供ができる

・成果が出るまでの時間が早い

・仕事だから、と責任を持って対応できる

などでしょうか。

 

続いてデメリットを見てみましょう。

 

「好きなことで起業すること」のデメリット

・稼げるとは限らない

・顧客に価値提供できるとは限らない

・マーケットに必要とされているとは限らない

・こだわりが強いあまり、視野が狭くなってしまうことがある

・好きすぎて全部自分でやろうとしてなかなか進まないことがある

・好きなことだからこそ、自分の商品やサービスに完璧を求めてしまうことがある

 →結果、なかなか販売に踏み切れない、など。

 

「ビジネスと割り切って稼げる分野で起業すること」のデメリット

・自分の商品、サービスに情熱をもっているとは限らない

・(熱意がない場合)うまくいかない時期にあきらめやすい

・自分の顧客層を好きになれないことがある

・ある程度収入が得られるようになるとモチベーションが下がりやすい

・ビジネスとして割り切って、稼げると思った分野で起業しても100%うまくいくという保証はない

などが考えられます。

 

「好きなことで起業」vs「稼げる分野で起業」の結論

それぞれのメリット・デメリットを簡単にリストアップしてみましたが、これをご覧になってどう思いましたか?

結局、この質問はどちらかが正解で、どちらかが不正解、という答えがない、というのが結論なんです。

 

起業する際に必要な視点は、この二者択一の質問の外側にあります。

 

どういうことかというと、そもそも起業というのは、ビジネスですから収入を得て初めて成り立つものです。

好きなことを仕事にしたい、というのはもちろんOKです。

でも、誰もあなたの好きな商品・サービスを求めていなかったとしたら?

これはつまり、お客さんに価値を提供できない、ということです。

誰も欲しがっていないのに押し付けるわけにはいきませんよね。

 

ビジネスはお客さんが求めるものを提供して、喜んでもらって、その代価としてお金をいただきます。

お金を払ってでも必要、欲しい、と思ってもらえないものはビジネスとして成り立たない、という大前提を思い出してほしいのです。

 

世の中には、「あなたの好きを仕事にする」という側面をとても強く押し出して起業を甘くパッケージしたサービスがたくさんあります。

けれど、いくらあなたが好きなことでも、お客さんに価値を提供できないような起業は方向性を考え直す必要があると私は思います。

 

一方、これまでのキャリアやスキルを活かして起業する、というのはとても現実的で、収入に結びつきやすいです。

それにこれまでの実績を活かすことができるビジネスの場合は、あなたの商品・サービスを通して顧客に価値の提供ができます。

 

けれど、その仕事が好きではない場合には、残念ながら長期的にみるとやっぱりどこかにひずみが出てきてしまいます。

 

それはやる気が出ない、という症状かもしれませんし、トラブルがあったりつらいことが起きたときに簡単にあきらめてしまった、という状況で表面に出てきてしまうかもしれません。

 

実際に知人の起業家は、ある事業で順調に業績を伸ばしていたのですが、「この事業はやめる。近いうちに売却するんだ。」と言っていました。その理由は「収入は安定してるし、十分稼げるんだけど、お客さんの層を好きになれなかった。」というものでした。

 

数人の相性の合わないお客さんや苦手なお客さんがいるのは仕方のないことなのですが、顧客層全体を好きになれない場合には、たとえ収入面で満足のいく金額を得られたとしても自分のなかで葛藤が生じてしまうことがあります。

 

「稼げるんだから割り切ればいいじゃない」と思う方も多いかもしれませんが、この問題はゼロからリスクを背負って新しい事業を立ち上げ直す選択をするほど重要なことなんだ、ということは頭の片隅に留めておいていただきたいなと思います。

 

二項対立の視点では答えが見えてこない、ということはなんとなくでも感じていただけたでしょうか?

起業するときに必要な視点

では、実際に起業したい、というときにどんな視点で自分のビジネスを探っていくべきだと思いますか?

せっかくなので少し考えてみてくださいね。

 

とても長くなってしまったので、この続きは次回お話したいと思います。

 

起業カレッジ.com 柳澤 奈津子