どんな仕事で起業すべきか迷ったら・・・

実際に起業したいとき、どんな視点で自分のビジネスを探っていくべきだと思いますか?

前回、好きな仕事かどうか、稼げるかどうか、という視点からの仕事の選び方について触れました。よく質問がある項目なので、これについてはいろいろな方が取り上げていますので、ほかの方のアドバイスもご覧になるといいと思います。

けれど、私はどんなビジネスにするのかを決めるときには、好きかどうか、稼げるかどうか、という視点よりも大事なポイントがあると思っています。

 そのなかでも特に絶対に外せないポイントが3つあります。

 1 自分が価値提供できること

 2 市場に求められていること

 3 自分の進みたい方向性に合致していること

この3つのうちどれか1つでも欠けていると実際問題として厳しいのではないかというのが私の意見です。

いくら自分の好きなことでも求められていなかったり、長期的に見て自分の進むべき方向ではなかったとしたら、一度立ち止まって考えてみた方がよいでしょう。

逆に、自分がまったく起業しようなんて思ってもいなかったのにうまくいったという方は、この3つのポイントすべて当てはまっているように感じます。

あえて上記の3つには感情を入れませんでしたが、もし、自分の進みたい方向性に合致していて、自分が価値提供できることだとしたら、ほとんどの場合、そのビジネスはあなたの好きなことだと思います。(まれに例外はあるかもしれませんが・・・)

そうそう、書いていて思い出したのですが、私は翻訳者になれたらいいなと思ってカナダのバンクーバーに語学留学(貯金の都合上半年間の滞在が精いっぱいでした)しましたが、翻訳業界に転職してわかったことは・・・「私は翻訳者に向いていない!」でした。

転職して1週間もたたないうちに自分の性格が翻訳者に向いていないことがわかりました。

これはちょっとした衝撃でした。けれど、プロの翻訳者さんの仕事ぶりをつぶさに拝見して、「あ~、私はこんなふうになれないな。ものすごく努力すればなれる可能性もあるだろうけれど、そこまで努力もできそうにないな。」と思いました。

そして、翻訳者には向いていないけれど、翻訳コーディネーターには向いていることもわかりました。

その結果、翻訳コーディネーターとしてのスキルを活かせるので翻訳事務所を立ち上げた、ということです。

もし私が翻訳者として独立したらどうなると思いますか?

前述の3つのポイントに当てはめてみるとこんなふうになります。

■自分が価値提供できること

 → プロとしてのスキル習得に真摯になれないので腕がよくない。つまり、価値提供ができない。

■市場に求められていること

 → 高度な専門職として求められるので、ちょっと英語ができるくらいでは求められるレベルには達していない。つまり、求められない。

■自分の進みたい方向性に合致していること

 → 仮にがんばって注文をいただけるようになったとしても、売れっ子になればなるほど毎日パソコンに長時間向き合ってコツコツと下調べ&翻訳作業に没頭するのは性に合わない。英語は好きだけど、適度に外出もしたいし、アカデミックに物事を探求することに喜びを感じるタイプではないし、そんなにストイックにがんばれそうにない。つまり、目指す方向性が異なる。

ということで、私は翻訳者を目指さないのが正解でした。

どんなビジネスで起業するか迷っている場合には、自分の感情や短期的な視点だけではなく、上記の3つのポイントに当てはめて考えてみてくださいね。

 

 

好きなことで起業vs稼げる分野で起業 どっちがいいの?

これも起業セミナーでよくある質問です。

 

「好きなこと」で「稼げる分野」での起業ができれば一番ですよね。

ところが、これを見つけるのはなかなか難しいことです。

 

だから「好きなことで起業したほうがいいのか」「それともビジネスと割り切って、稼げる分野で起業すればいいのか」と悩む方が多くいらっしゃるのだと思います。

 

今回は「好きなことで起業すること」と「ビジネスと割り切って稼げる分野で起業すること」のメリットとデメリットをそれぞれ見ていきたいと思います。

 

「好きなことで起業すること」のメリット

・楽しい

・苦労もいとわない

・稼ぎが悪くてもいい、と思える

・やりがいがある

・好きなことをやっているという充実感がある

・うまくいかないときも好きだからこそ粘り強く取り組める

などがあげられます。

 

「ビジネスと割り切って稼げる分野で起業すること」のメリット

・収入を得られる

・自分の今あるスキルを活かすことができる

・これまでの経験や実績が活きる

・商品、サービスを通じて顧客に価値提供ができる

・成果が出るまでの時間が早い

・仕事だから、と責任を持って対応できる

などでしょうか。

 

続いてデメリットを見てみましょう。

 

「好きなことで起業すること」のデメリット

・稼げるとは限らない

・顧客に価値提供できるとは限らない

・マーケットに必要とされているとは限らない

・こだわりが強いあまり、視野が狭くなってしまうことがある

・好きすぎて全部自分でやろうとしてなかなか進まないことがある

・好きなことだからこそ、自分の商品やサービスに完璧を求めてしまうことがある

 →結果、なかなか販売に踏み切れない、など。

 

「ビジネスと割り切って稼げる分野で起業すること」のデメリット

・自分の商品、サービスに情熱をもっているとは限らない

・(熱意がない場合)うまくいかない時期にあきらめやすい

・自分の顧客層を好きになれないことがある

・ある程度収入が得られるようになるとモチベーションが下がりやすい

・ビジネスとして割り切って、稼げると思った分野で起業しても100%うまくいくという保証はない

などが考えられます。

 

「好きなことで起業」vs「稼げる分野で起業」の結論

それぞれのメリット・デメリットを簡単にリストアップしてみましたが、これをご覧になってどう思いましたか?

結局、この質問はどちらかが正解で、どちらかが不正解、という答えがない、というのが結論なんです。

 

起業する際に必要な視点は、この二者択一の質問の外側にあります。

 

どういうことかというと、そもそも起業というのは、ビジネスですから収入を得て初めて成り立つものです。

好きなことを仕事にしたい、というのはもちろんOKです。

でも、誰もあなたの好きな商品・サービスを求めていなかったとしたら?

これはつまり、お客さんに価値を提供できない、ということです。

誰も欲しがっていないのに押し付けるわけにはいきませんよね。

 

ビジネスはお客さんが求めるものを提供して、喜んでもらって、その代価としてお金をいただきます。

お金を払ってでも必要、欲しい、と思ってもらえないものはビジネスとして成り立たない、という大前提を思い出してほしいのです。

 

世の中には、「あなたの好きを仕事にする」という側面をとても強く押し出して起業を甘くパッケージしたサービスがたくさんあります。

けれど、いくらあなたが好きなことでも、お客さんに価値を提供できないような起業は方向性を考え直す必要があると私は思います。

 

一方、これまでのキャリアやスキルを活かして起業する、というのはとても現実的で、収入に結びつきやすいです。

それにこれまでの実績を活かすことができるビジネスの場合は、あなたの商品・サービスを通して顧客に価値の提供ができます。

 

けれど、その仕事が好きではない場合には、残念ながら長期的にみるとやっぱりどこかにひずみが出てきてしまいます。

 

それはやる気が出ない、という症状かもしれませんし、トラブルがあったりつらいことが起きたときに簡単にあきらめてしまった、という状況で表面に出てきてしまうかもしれません。

 

実際に知人の起業家は、ある事業で順調に業績を伸ばしていたのですが、「この事業はやめる。近いうちに売却するんだ。」と言っていました。その理由は「収入は安定してるし、十分稼げるんだけど、お客さんの層を好きになれなかった。」というものでした。

 

数人の相性の合わないお客さんや苦手なお客さんがいるのは仕方のないことなのですが、顧客層全体を好きになれない場合には、たとえ収入面で満足のいく金額を得られたとしても自分のなかで葛藤が生じてしまうことがあります。

 

「稼げるんだから割り切ればいいじゃない」と思う方も多いかもしれませんが、この問題はゼロからリスクを背負って新しい事業を立ち上げ直す選択をするほど重要なことなんだ、ということは頭の片隅に留めておいていただきたいなと思います。

 

二項対立の視点では答えが見えてこない、ということはなんとなくでも感じていただけたでしょうか?

起業するときに必要な視点

では、実際に起業したい、というときにどんな視点で自分のビジネスを探っていくべきだと思いますか?

せっかくなので少し考えてみてくださいね。

 

とても長くなってしまったので、この続きは次回お話したいと思います。

 

起業カレッジ.com 柳澤 奈津子

 

 

 

 

 

 

 

 

起業のきっかけ

 

メモ帳

起業のきっかけは人それぞれです。

もし、あなたがこれから起業しようとしていたり、いつかは起業したい!と思っているのなら、そう思い始めたきっかけや動機があると思います。

 

あなたはなぜ起業したいのですか?

 

私は自治体が主催する起業入門セミナーの講師を毎年担当させていただいているのですが、毎回「なぜ起業しようと思ったのですか?」「きっかけは何ですか?」という質問をいただくことに気づきました。

 

おそらく、多くの女性(男性も同じだと思いますが)は「起業したいけど、うまくいくかどうかわからないから怖い」とか「やりたい気持ちはあるけど思い切って一歩を踏み出す勇気がない」というような漠然とした不安から、「思い切って起業した人はどんなきっかけがあったのだろう?」ということに興味があるのかなと感じています。

 

書籍や成功した方の講演では、「以前から●●をするのが夢だった」「なんとしてもやり遂げたいことがあった」という確固たる夢や目標を持って起業したというケースが多いと思います。

 

けれど、私の場合はちっともかっこよくもないし、胸を張って言えるような立派なきっかけではありませんでした。

 

なぜなら、私の場合は転職活動がうまくいかなかったから、というのが一番のきっかけだからです。

 

こんな理由で翻訳事務所を立ち上げました。

 

私は翻訳者には向いていないけど、翻訳コーディネーターには向いているし、この仕事は結婚した後も出産した後もずっと長く続けていきたいという気持ちがあったので、「やるだけやってみよう。それでダメならまた転職活動を続ければいいや」という軽い気持ちでした。

 

幸いなことに翻訳事務所は、パソコンと電話とプリンターとメールアドレスがあればなんとかなる業態だった、つまり、貯金がなくても始めることができた、ということも私の背中を押してくれた要因のひとつです。

 

当時はまだ20代だったので少々の無鉄砲さもあったことは確かです。

 

拍子抜けしてしまいましたか?

実際はそんなものです。

 

それでも、あのとき思い切ってやってみて本当に良かったと思っています。

私の人生で最も誇りに思える決断のひとつではあるのですが、「転職活動がうまくいかなかったから」という、じつはちょっと後ろ向きな理由だったことは、しばらく内緒にしていました。

 

当時はちょっとかっこつけて「前からちょっとやってみたいとは思っていた」くらいのことを友人に言っていました。今では笑い話です。

 

あなたがもし起業したいと思っているのなら、こんな理由でも起業しちゃった人がいるよ、と少し肩の力を抜いて考えてみてくださいね。

 

そのうえで、起業した場合のメリットとデメリット、そして、起業しなかった場合のメリットとデメリットをそれぞれ思いつくものすべてをノートに書き出してみてください。

 

あなたが感じている「漠然とした不安」の正体が見えてくるかもしれません。

 

ひとは正体がわからないものには恐怖を感じますが、正体がわかってしまえば対応策を考えられます。

まずはしっかりと「起業する」ということに向き合ってみることをおすすめします。

 

なぜなら、「思ったより怖くないかも!」ということに気づくことができる可能性が高いからです。

小さく始めれば再起不能の大けがをしなくてもすみます。

かっこいいオフィスや会社案内などかたちから入りたがる男性よりも、現実的な女性には小さく始めて手堅く育てる起業がぴったりな気がしませんか?

 

起業カレッジ.com 柳澤 奈津子

 

追申:2002年に立ち上げた翻訳事務所は2年後に会社にすることができました。

今でも社員5名の小さな会社ですが、ニッチな分野でがんばってます!

>> 有限会社ワールド翻訳サービス

 

 

 

 

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